4.MBO予想実践

【MBO予想】ハイレックスコーポレーション(東証スタンダード・7279)

panda

はじめに

こんにちは、MBO予想ブログのPandaです。
話題のMBO(マネジメント・バイアウト)について、実際の上場企業のうち「MBOの動きがあり得るか」という観点から一定程度評価できるものをご紹介していきます。

評価基準やスクリーニング方法はこちらの記事もご覧ください。

【MBO予想】ハイレックスコーポレーション(東証スタンダード・7279)
【MBO予想】ハイレックスコーポレーション(東証スタンダード・7279)


今回は、自動車用コントロールケーブル大手のハイレックスコーポレーション(東証スタンダード・7279)をご紹介します。

あくまで当ブログ内の個人的予想や基準設定の範疇であり、将来的なMBOの実現を保証するものではありませんのでご了承ください

企業概要

自動車用コントロールケーブルで世界トップシェアを持つ独立系部品メーカー。グローバル展開を進め、安定した業績と堅固な財務基盤を誇っている。本社所在地は兵庫県宝塚市。決算月は10月。

評価基準

スコアレンジ

各項目はS~Dの5段階評価です。
目安は以下の通りです(数値は便宜的な点数レンジです)。

評価点数レンジ説明(基準)例
S100~90極めて優秀・業界トップクラス、MBO観点で非常に有利
A89~80優秀・上位水準、MBO観点で有利
B79~70標準的・平均的、MBO観点でやや有利
C69~60やや見劣り、MBO観点でハードルあり
D59以下明確な弱み、MBO観点で大きな障害

各項目の具体的な基準イメージ

  • PBR割安度
    S:0.4倍未満/A:0.4~0.6倍/B:0.6~1.0倍/C:1.0倍超/D:1.5倍超
  • オーナー支配度
    S:過半数超/A:35~50%/B:20~35%/C:5~20%/D:分散株主
  • 自己資本比率
    S:80%超/A:60~80%/B:50~60%/C:40~50%/D:40%未満
  • キャッシュフロー
    S:安定大幅プラス/A:概ねプラスで推移/B:年によって波があるが黒字基調/C:赤字年が目立つ/D:恒常的に赤字
  • 配当性向※
    S:10%未満/A:10~20%/B:20~35%/C:35~50%/D:50%超(※低いほどMBO観点で評価高)
  • 業界リスク
    S:極大/A:大きい/B:やや高い/C:低い/D:皆無
  • 時価総額
    S:100億円未満/A:100~300億円/B:300~600億円/C:600~1500億円/D:1500億円超

MBO予想ステータス(2025年5月時点)

※配当性向は、MBO観点では低いほど高評価としていますのでご注意ください

基本能力の説明

  • PBR割安度
    PBRは0.34倍と大幅に1倍を下回っており、現預金や有価証券などの金融資産が時価総額を上回っているため、MBOターゲットとして十分な割安感あり。
  • オーナー支配度
    創業家(寺浦家)の持株比率が30%超。過半数には届かないものの、意思決定の柔軟性や迅速性の面で一定の評価。
  • 自己資本比率
    自己資本比率は62.5%と高水準。有利子負債も少なく財務の安全性は非常に高い。
  • キャッシュフロー
    年によって波があるが複数年を通せばプラス基調。
  • 配当性向
    配当性向は30%前後と一般的な範囲内。有価証券報告書の配当政策などから内部留保も重視していることが伺えることはMBOの観点では好材料。
  • 業界リスク
    自動車部品業界特有のEVシフトやグローバル競争激化、コスト圧力などの構造変化リスクが比較的高い状況。
  • 時価総額
    時価総額は約540~550億円で、MBO実行にはやや高めの水準となっており資金調達面で一定のハードルあり。

特殊能力の説明

  • 株価減少傾向(○)
    ここ10年で減少傾向にある。MBO実行面から見れば、会社は近年の株価を算定基準として株式買取価格を抑えることができるため好材料。
  • アクティビスト存在、株主提案実績(○)
    株主にアクティビストが存在しており、また2024年には株主提案の動きが一部見られるなど外部圧力が伺える。
  • 事業承継済み(△)
    2020年に創業家内で世代交代を実施済みのため、直近では大きな承継問題はないと思われる。

総評

時価総額の高さや承継済みである点がMBOに踏み切るにはややネックですが、割安な株価や高い財務健全性はMBOターゲットとして高評価です。

配当利回りも3%程度はあるため、配当を得ながらMBOを待つスタイルの投資対象先として悪くない銘柄だと思います。

東証からのPBR1倍割れ改善要請が出ていたり、アクティビストからの経営改革・ガバナンス強化・株主還元拡大の要請にも反対意見を表明していた…

配当を上げれば株価も上向いてそれらの周囲の声は収まりそうなものだが、それはせず会社の体質強化のために内部留保を重視している。

財務基盤は強いし外から色々言われているのだから「上場はやめて自分たちで長期的な目線で自由に経営したい」と思ってもおかしくないのではないか?

本記事は特定の個別銘柄への投資勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任にて行ってください。掲載内容に基づく投資による損失等について、当ブログおよび筆者は一切の責任を負いかねます。

ABOUT ME
Panda(パンダ)
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公認会計士
監査法人出身の公認会計士。現在は一般事業会社の経理として実務に従事しながら、株式投資やインデックス投資なども実践中。 経理と会計士の視点から、MBO候補企業をゆっくり、でも深く掘り下げるブログを書いています。
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