5.用語集・コラム

【初心者向け】ROE・ROA・PER・PBRとは? ~企業分析で押さえたいアルファベット3文字指標~

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はじめに

株式投資や企業分析を始めると、ROEやPERなどのアルファベット3文字の指標がたくさん出てきて混乱することはないでしょうか。またその時は覚えたつもりでも数日経つと「あれ?なんだったっけ…?」となることもあるかと思います。

そこで今回は、よく使われる代表的な指標について「分数の形」や「覚えるべき文字」を説明しますのでスッキリしていただければと思います。

ROE(Return on Equity=自己資本利益率)

計算で使用するのはRとEです。

分子のR(リターン=利益)が大きいほど良いですが、分母のE(自己資本)も大きいときは効率的とはいえないという評価になります。

$\frac{Return}{Equity}$ = $\frac{利益}{株主のお金}$

ROEとは?
株主が出資したお金(自己資本)を使って、会社がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す指標です。つまり会社の“自前の力”ともいえます。
数字が高いほど、株主のお金を効率的に運用できている優良企業と判断されます。

優良の目安
8~10%以上が一般的な目安で、10%を超えると特に優良とされます。

ROEの覚え方のポイント

まずは先頭の文字だけ!

ROEは、R(利益)が分子

分子に先頭の文字のRが来る」ということだけまずは覚えましょう。
その後で以下のように思い出していければ頭の中で式が組み立てられます。
・R=リターン=利益だったな
・似た指標のROAでもOがつくからOは重要じゃないな
・残ったEが分母だな
・E=Equity=自己資本だな

使うのはB/S、P/Lのココ

ROA(Return on Assets=総資産利益率)

計算で使用するのはRとAです。

分子のRは先程と同様で、分母のAに比べてどうかという指標です。

$\frac{Return}{Assets}$ = $\frac{利益}{全財産}$

ROAとは?
会社が持つ全ての資産(現金・設備・土地など)を使って、どれだけ利益を生み出しているかを示す指標です。
資産全体の効率性を評価し、経営の健全度を測るのに役立ちます。

優良の目安
5%以上が目安とされています。

ROAの覚え方のポイント

まずは先頭の文字だけ!

ROAは、R(利益)が分子

ここでも先程のROEと同じく「分子に先頭の文字のRが来る」ということだけ覚えて、以下のように思い出していきましょう。
・R=リターン=利益だったな
・似た指標のROEでもOがつくからOは重要じゃないな
・残ったAが分母だな
・A=Assets=総資産だな

使うのはB/S、P/Lの大体この辺!

PER(Price Earnings Ratio=株価収益率)

今度は前半2文字のPとEが式の要素です。Rは率を意味します。

$\frac{Price}{Earnings}$ = $\frac{市場の期待}{1株あたりの儲け}$

PERとは?
株価が1株あたりの利益の何倍で評価されているかを示す指標です。
一般的に、PERが低いほど割安、高いほど割高と判断されます。市場の期待が高まれば分子が増加してPERが伸びていきます。

優良の目安
15倍前後が標準と言われています。15年で元を取れる水準と考えれば、逆数をとって計算できる年間利益率6.6%のラインとなります。

15倍より高ければ普通以上に市場から期待されており、逆に15倍より低ければあまり期待されていないとも言えます。

ただし水準は業種や市場環境によって異なります。

PERの覚え方のポイント

まずは先頭の文字だけ!

PERは、P(株価)が分子

分子に先頭の文字のPが来る」と覚えて、以下のように思い出していきましょう。
・P=プライス=株価
・似た指標のPBRでもRがつくからRは重要ではないな
・残ったEが分母だな
・E=Earnings=稼ぎ→→1株当たり利益

PBR(Price Book-value Ratio=株価純資産倍率)

大事なのは前半2文字のPとBです。Rは率を意味しています。

$\frac{Price}{Bookvalue}$ = $\frac{市場の期待}{1株あたりのたくわえ}$

PBRとは?
株価が会社の1株あたり純資産の何倍で評価されているかを示します。やはり市場の期待が高まれば分子が増加してPBRも増大します。
なお1倍未満だと割安感があり、悪く言えば「会社の解散価値より株価が低い」とみなされているということです。極端に言えば「100万円の入った財布を80万円で評価されているのであれば、今すぐ解散して100万円を株主に分配したらどうだね」という状態です。

優良の目安
1倍前後が基準で、1倍未満は割安とされます。市場が完璧に会社を評価できるとすると、株価=1株当たり純資産と一致するということですね。

PBRの覚え方のポイント

まずは先頭の文字だけ!

PBRは、P(株価)が分子

分子に先頭の文字のPが来る」と覚えて、以下のように思い出していきましょう。
・P=プライス=株価
・似た指標のPERでもRがつくからRは重要ではないな
・残ったBが分母
・B=BOOK Value=帳簿価値→→純資産

おまけ:自己資本比率(Equity Ratio)

自己資本比率は日本語読みでも多く目にする指標です。企業分析にあたり重要ですので今回併せてご紹介します。

$\frac{自己資本}{総資本}$ = $\frac{株主のお金}{借金+自前のお金}$

自己資本比率とは?
会社の資金のうち、どれだけ“自前の資本”でまかなっているかを示す指標です。
財務の安定性を測る重要な指標で、数値が高いほど倒産リスクが低いとされます。

優良の目安
40%以上で優良、60%以上なら非常に安定していると評価されます。

使うのはB/Sのみ!

まとめ

  • ROEは「株主のお金をどれだけ効率よく使っているか」
  • ROAは「会社の全財産でどれだけ儲けているか」
  • PERは「株価が利益の何倍か(割安・割高の目安)」
  • PBRは「株価が純資産の何倍か(解散価値との比較)」
  • 自己資本比率は「会社の資金のうち自前の割合(財務の安全度)」

特にPERとPBRは“P”=株価(外部の投資家の期待・評価・思惑・感情)により日々変動するため特殊な指標と言えます。

PERやPBRが企業の実態を正確に表しているかどうかという点はまた別の議論になりますが、”外部の目から見て将来性に期待を持てる会社“なのかということは投資額や資金流入額に影響しますので、その意味では経済社会や証券市場の発展にとって非常に重要な指標といえます。東証が最近PBRを重要視しているのは、市場の未来まで見据えてのことなのだろうと個人的には考えています。

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指標は他にも色々ありますが、「分数の形」と「アルファベットのそれぞれの意味」を理解したり覚えるべき文字を選ぶことで、ぐっと理解が深まります。

なお全ての評価指標を高水準で満たす企業を探そうとしてもなかなか無いと思います。

あくまでツールですので、自分が大事だと思う指標を選定するということが大事ですね。

中小・零細企業でも自己資本比率やここでは紹介していない流動比率などは話題になりますしチェックされている社長は多いです。ただ、規模が比較的小さい会社ですとまずは”倒産しないこと”が何より優先されますので、B/Sの”現預金”の残高にどれだけ余裕をもてているかが重要となります。

ABOUT ME
Panda(パンダ)
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公認会計士
監査法人出身の公認会計士。現在は一般事業会社の経理として実務に従事しながら、株式投資やインデックス投資なども実践中。 経理と会計士の視点から、MBO候補企業をゆっくり、でも深く掘り下げるブログを書いています。
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